「ノーペイン・ノーゲイン」
ユダヤ人の子どもたちが、幼い頃から親から叩き込まれる「自己犠牲なくして成功は得られない」とい金銭哲学を超えた人生哲学。
ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集 石角莞爾著
著者の石角莞爾さんは日本人でありながら、海外で弁護士として活動しているうちに、ユダヤ教の教えに感動して改宗したかた弁護士さんで、日本文化との対比がわかりやすくて面白かったです。

- なぜユダヤ人が迫害されなければならなかったのか?
- ユダヤ人はお金好きと言われている理由はなにか?
世界を支配する金融業ゴールドマン・サックスを始め、ジェフ・ベソス、ウォーレン・バフェット、マーク・ザッカーバーグなど、名だたる成功者はユダヤ人が多い。「金の亡者」とお金もうけにかんして揶揄されることが多いユダヤ人。呼ばれるね文豪シェイクスピアまでも「ヴェニスの商人」で堂々とユダヤ人差別を描いています。
私自信もユダヤ教・ユダヤ人について、なんとなくわかってたようで、実は全く理解できていませんでした。この本からユダヤの文化含め、さまざまな金言、とても勉強になりました。子どもに読み聞かせたいお話ばかり。
この本に出てくるユダヤの説話を一部ご紹介します。
- 魔法のザクロ
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3人兄弟がそれぞれ見つけた宝物でお姫様を救うお話。世界の隅々まで見渡せるコップ・どこにでも飛んでいける行ける絨毯・病気が治るザクロ。あなたならどれを使う?教訓はノーペイン・ノーゲイン。
- 七匹の太った牛と七匹の痩せた牛
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太った牛が痩せた牛を食べてしまった夢を見た王様のお話。7年毎に訪れる大豊作と大飢饉に備え、収穫したものを貯蔵せよ、という教え。
- 神との交渉
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悪人で満ちている街を焼き払おうとした神に対して、段階的に、具体的な数字を並べながら、交渉し続け、自分に有利な約束を取り付けるお話。最後まであきらめずに「少しの成果を積み重ねよう」
- キツネと葡萄畑
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柵に囲まれた葡萄畑を見つけたキツネの話。柵が細くて、今のままでは中に入れない。そこで何日も空腹を我慢して痩せてから入り、葡萄をたらふく食べ、いざ出ようとしたら、今度は太って出られない。どうすれば良かった?
- 難破船の三人の乗客
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船が遭難し、流れ着いたのはフルーツが実る島だった。船を修理してから出航することになったが、あなたは船を降りる?降りない?(ちなみに何日も空腹)適正なリスクを計算して、判断せよ。
- 追い詰められたユダヤ人の奇策
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ある無実の罪を着せられたユダヤ人が、「無罪放免」と「死刑」と書かれた紙が入った封筒のどちらかを選ぶように言われた話。実はどちらも「死刑」と書かれた紙が書かれている。さぁどうする?
他にも「口こそ最大の武器」「幸福と幸福感は別もの」など、心得るべき教訓がたくさん出てきます。ユダヤ人は母親から子どもへ昔話を話すように、こういった逸話を通じてユダヤ人の教えを伝えていくそうです。
日本の昔話はどうなの?という問いも考えさせられました。ユダヤ人の教えは具体的な事例が多く、賢く考えるための有効な物語なのに対して、日本昔ばなしは根性論とか清貧のすすめみたいな話が多いです。これは誰が得する教えなの?という、(答えは権力者なのですが)清く正しく生きて「権力・ルールに黙って従った方が得」な話が多く、根本的な方向性が全然違うことに気づきます。
私たちはこのような視点を持たずに、「日本昔話は良いものだ」という、根拠のない理由で絵本を選んでいる気もしますが、これからの世代の子ども達にはちゃんと生きた知恵を教えてあげたいと思いました。
いろんなユダヤ人の教え(物語)が出てくるので、面白くて一気に読めます!ぜひ読んでみてください。
